男の孤独

【孤独なあなたへ】パラソーシャル関係がもたらす意外なメリットとデメリット

誰にも頼れない夜、ふと開いたスマホの画面に、あの人がいた。
あなたはただ見ているだけ。でもなぜか心が落ち着く。
「自分はひとりじゃない」と錯覚できるその感覚——。
それはきっと、あなたが今、生き延びるために編み出した、最後の“つながり”の形なのかもしれません。

なぜ私たちは知らない人に心を許してしまうのか?

YouTube、TikTok、配信アプリ——気がつけば、毎日のように誰かの声を聞いている。
その人はあなたのことを知らない。でも、あなたはその人のことを「知っている」と感じてしまう。
これが「パラソーシャル関係」です。

心理学者ドナルド・ホートンとリチャード・ウールが1956年に提唱したこの概念は、
**「一方通行のつながり」**という言葉で知られています。

・推しの言葉に一喜一憂する
・投稿が減ると不安になる
・DMに既読がつかないだけで落ち込む

こんな自分に気づいたとき、あなたは少し怖くなったのではないでしょうか?

でも、まず伝えたいのは、これは「異常」じゃないということ。
人は本能的に誰かとつながろうとする生き物です。
だから、それが現実の人間でなくても、あなたが感じた「ぬくもり」は本物なんです。

パラソーシャル関係がくれる「救い」と「ぬるま湯」

実際、パラソーシャル関係にはポジティブな側面もあります。

  • 孤独感をやわらげる
  • 自己肯定感を高める
  • 社会的スキルの“疑似練習”になる

たとえば、米国クリーブランドクリニックの精神科医スーザン・アルブレヒト医師は、

「パラソーシャル関係は、孤立した人が“関係性”を練習する安全な場になることがある」
と述べています。

あなたが誰かのライブ配信を見て「また明日も生きよう」と思えたなら、
それは立派な“回復の一歩”です。
現実の人間関係がうまくいかない時、パラソーシャルなつながりは心の支えになります。

でも問題は、そのまま“ぬるま湯”に浸かり続けたときに訪れる変化です。

心が静かにむしばまれていく——パラソーシャル関係の影

最初は“癒し”だったのに、
いつのまにか「現実」が遠のいていく。

  • 本当の友人関係を築く気力が失われる
  • 気づけば他人の“通知”で一日が左右される
  • 他人の幸せや発言に、異様な嫉妬や怒りが湧く

これがパラソーシャル関係の「副作用」です。

あなたは「自分は大丈夫」と思っているかもしれません。
でも、本当に“境界線”は守れているでしょうか?

「DMしても返信が来ない。嫌われたかも」
「推しがリアル恋人を作った。なんだか胸がざわつく」

——それ、本当に“ただのファン”としての感情でしょうか?

誰かの人生に、自分の心を“預けすぎる”ことは、とても危うい行為です。
想像の中で結ばれた“関係”が、本当のつながりだと錯覚した瞬間、
あなたの心は、ひとりでに崩壊していく。

「幻想」が、あなたの世界を狭くしている

ここで、少しきつい問いを投げかけます。

「あなたが感じている“つながり”、本当にそれだけで足りていますか?」

「画面の向こうの誰かに、あなたの“生きる理由”を預けていませんか?」

「現実の人と関わる勇気を、どこかで“諦め”に変えていませんか?」

パラソーシャル関係は、痛みを避けるには最適な“逃げ道”です。
でも、その道にずっと留まっていたら、
誰にも触れられないまま、あなた自身が「想像の存在」になってしまう。

それでもあなたは、「でも、今さら現実に戻るのは怖い」と思ってしまうかもしれません。
その気持ち、わかります。

でも、怖くても、あなたは“戻る”ことができる。
なぜなら、あなたは今、この文章をここまで読んでくれたからです。

つながりを選び直す勇気を、あなたに

パラソーシャル関係は、悪いものではありません。
むしろ、誰かとつながりたいというあなたの「優しさ」や「人間らしさ」の証拠です。

大事なのは、それに「支配されないこと」。
そして、それを「現実の関係」に変えていこうとする意志です。

すぐに変わらなくてもいい。
でも、たとえば今日、SNSではなく、誰かに「おはよう」と言ってみる。
そんな一歩が、あなたの「本当のつながり」を取り戻すきっかけになります。

まとめ

パラソーシャル関係は、孤独を救うこともあれば、心を閉ざすこともあります。
それはあなたにとって、“絆の練習台”であるべき存在です。

現実がしんどいとき、逃げ込んだっていい。
でも、そこにずっといてしまえば、あなた自身の人生が“誰かの物語の脇役”になってしまう。

本当のつながりは、あなたが自分で選び直すことでしか生まれません。
今日、もう一度だけ、自分に問いかけてみてください。

「このままで、いいのか?」と。

  • この記事を書いた人

天海 悠星

1994年生まれ。大学4年間ボッチ、社会人友達無し。孤独歴10年。孤独のエキスパート。むかしから孤独に強く、孤独と向き合うことで最強のメンタルが身につく。孤独感でつぶされそうな人に向けて、孤独に対処する方法を発信。海外独り旅が趣味。

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