やる気はある。でも動けない。目標はある。でも始められない。頭の中ではわかってるのに、なぜか手が止まる——それは意志の問題ではなく、脳があなたを止めているのかもしれません。責める前に知ってほしい。あなたの「動けなさ」には、ちゃんと理由があります。
目次
なぜあなたは「動きたいのに動けない」のか?──完璧主義の裏にある脳の習性
資格の勉強、ダイエット、片付け、早起き…。
「やろう」と決めたのに、なぜか手が出ない。
それは甘えでも怠けでもなく、あなたの脳が“自動的に避けよう”としているからです。
完璧主義には、2つのタイプがあります。
- 自己基準型(PSP):自分の理想に近づきたい
- 他者基準型(ECP):人から失望されたくない
動けなくなるのは、多くの場合このECP=他者からどう思われるかに過剰に反応する脳が関係しています。
心理学の研究(Stoeber & Otto, 2006)によると、ECPが高い人は、ミスや不完全さに対して強い不安を感じ、行動そのものを回避しやすくなる傾向があるといわれています。
あなたが失敗を避けるほど、脳は「考えること」をやめていく
実は、ECPが高い人の脳は、間違いに直面した瞬間、思考をそらすという特性を持っています。
米国の神経科学研究では、「内側前頭回(medial frontal gyrus)」という脳の部位が、ミスをしたときに活性化し、注意を逸らす働きをすると報告されています。
つまり、あなたが
- 「できなかった自分がイヤになる前に、最初からやらない」
- 「始めると失敗するから、始めなければ傷つかない」
と感じるのは、脳があなたを守るために自動的に「回避するように設計されている」からなんです。
だからこそ、完璧主義者は“改善点がわかるのに動けない”
あなたの脳は優秀です。改善点はちゃんと見えている。
「どこがダメだったか」「どうすればよくなるか」それもわかってる。
でも実際には行動できない。なぜか?
それは「気づき」と「実行」をつなぐ橋が壊れているから。
そして、その橋を壊したのは、「失敗=存在否定」だった過去の体験かもしれません。
【現実】このまま完璧主義で止まり続けた先にある、静かな崩壊
もしこのまま、
- 「100点じゃないなら意味がない」
- 「60点で受かっても、それは妥協だ」
- 「本気出してないだけ。いつかやる」
そう思い続けたら、10年後、何が残っているでしょうか?
思考だけがどんどん精密になり、
行動力だけが年々落ちていく。
仕事も、恋愛も、人間関係も。
「まだ本気出してないだけ」という言い訳だけが残る。
気づいたときには、夢も、時間も、静かに消えているかもしれません。
動ける人になるには「完璧主義を否定しない」こと
ではどうすればいいのか?
大切なのは、完璧主義を手放すのではなく、“使い方”を変えることです。
そのカギになるのが「自己基準型完璧主義(PSP)」です。
このタイプは、他人ではなく“自分が納得できるか”を基準に判断します。
ミスしても落ち込まず、
改善点を見つけて、次に活かす。
この思考に切り替えることで、完璧主義は行動の推進力に変わります。
「完璧主義のまま動ける脳」に変える2つの習慣
ここからは、具体的にどう変えていくかを紹介します。
1. ミスをしたら「5秒立ち止まる」
失敗を感じた瞬間、
あなたの脳は注意をそらそうとします。
このとき、意識的に5秒だけ止まるようにしてください。
- 呼吸に意識を向ける
- ミスを客観的に見つめる
これだけで、回避行動にブレーキがかかります。
2. 「自分なりの基準」を毎回つくる
勉強でも、ダイエットでも、
何かに取り組むときは**「誰かの期待」ではなく「自分の納得ライン」**を決めてください。
例:
- 合格点が60点なら「65点で十分」とする
- 体重ではなく「階段を息切れせずに登れたらOK」とする
最初は簡単すぎる基準でも構いません。
それがあなたの脳の配線を変えていく鍵になります。
まとめ
完璧主義で動けないのは、あなたの脳が「失敗=痛み」と認識しているからです。
それは過去の経験によって組まれた、自動反応にすぎません。
だからこそ、変えることができるのです。
「完璧じゃなきゃ意味がない」と思ってきたあなたは、実はとても努力家で繊細な人です。
その力を、“他人の期待”から“自分の納得”へ向けるだけで、
思いもしなかった速度で人生は動き出します。
少しずつでいい。完璧主義のまま、歩き出せる日が、もうすぐそこまで来ています。