あのVtuberの配信は最高だった。笑って、コメントして、名前を呼ばれて、ちょっとだけ世界とつながれた気がした。でも…配信が終わったあと、何かがスッと抜けたみたいに、心の中が静かになって、そして、虚しくなった。それっておかしいことなんでしょうか?…いいえ、まったくおかしくありません。
目次
【配信後の虚無感】それは“楽しさ”の副作用かもしれない
Vtuberの配信は、楽しい。癒される。救われる。
でも、その楽しさの裏に、小さな「副作用」があることを、僕たちはあまり知らない。
配信が終わったあと、胸の奥に残る、ポカンとした空気。
「さっきまで、あんなに笑ってたのに…なんでこんなに寂しいんだろう?」
実はこの感情、あなた一人のものじゃない。SNSを見ても、「配信後の虚無感」を感じている人は多い。
それは、あなたの心が弱いからでも、依存しているからでもない。
問題は、脳と心の「勘違い」にあるんです。
【擬似的なつながり】脳が「本物の人間関係」と錯覚する理由
心理学の用語で、「パラソーシャル関係(擬似関係)」という言葉があります。
これは、一方的に親しみや愛着を感じる関係のこと。テレビのキャスター、アイドル、そして今ではVtuberがその代表です。
スタンフォード大学の神経心理学研究によると、脳は相手の反応(声、表情、名前呼び)に対して本物の交流だと錯覚しやすいことが分かっています。
つまり、配信中のあなたの心は、「この人は、自分のことを見てくれてる」と思っている。
だからこそ、配信が終わると、その関係が突然切れたように感じてしまう。
それが、あの虚しさの正体なんです。
【心が空っぽに感じる瞬間】それは、満たされていた証拠でもある
虚しくなるってことは、それまで満たされていたという証拠でもあります。
・コメントを拾ってもらえた
・共通の話題で盛り上がった
・画面越しでも、誰かとつながれた気がした
そういう小さな“光”があったからこそ、配信が終わったあとに“闇”が感じられる。
だから、あの空虚さは「楽しかった証」でもある。
でも――ここからが重要です。
その虚しさを「日常に戻るきっかけ」に変えられるかどうかで、あなたの心は大きく変わります。
【警告】このまま“配信の世界”に逃げ続けたら、どうなる?
想像してみてください。
配信がある日は楽しい。でも、配信がない日は、何もする気が起きない。
リアルの人間関係は薄くなり、食事も適当、寝不足、孤独…気づいたら、「推しのいない時間」に生きる意味を見失っている。
そんなふうにして、“現実に戻れない”人たちが本当に増えてきています。
もちろん、Vtuberを見るのは悪いことじゃない。
でも、「虚しさをごまかすため」に見るようになったら、それは心の逃避。
そのまま逃げ続けた先には、何もない。
【埋めるのではなく、整える】虚無感との付き合い方
虚無感は、消すものではなく、“整える”もの。
そのために、次の3つを意識してみてください。
● 配信のあとに「戻る場所」をつくる
配信が終わったあと、すぐにSNSや次の配信に逃げないこと。
静かな音楽を流す、ノートに感情を書く、外の空気を吸う。**「現実に戻るクッション時間」**を意識してみてください。
● 感情に“名前”をつけてあげる
「なんとなく寂しい」を、「心が触れた相手がいなくなったからだ」と言語化してみるだけで、気持ちは少し楽になります。
心理学者のタニア・ブラウン博士もこう語っています。
「感情は、無視するほど大きくなる。認めてあげるほど、小さくなる。」
● 自分の「満たされなかった部分」に気づく
なぜ、あんなに配信が楽しかったのか?
それは、日常で得られない感覚が、そこにあったから。
・誰かに見てもらえる感覚
・自分の存在が肯定される感覚
・安心できる場所の存在
それが、あなたが本当に欲しかったものなんです。
【心の空白】は、推しで埋めるものじゃない
推しに救われることは、たしかにあります。
でも、それがすべてになると、「救われた自分」がいなくなってしまう。
だからこそ、配信の楽しさを受け取ったあとは、「自分の場所を、自分で整える」ことが必要なんです。
あなたの心の虚無感は、「もう一度、自分に向き合って」と教えてくれているサインなのかもしれません。
まとめ
Vtuberの配信が終わったあとに感じる“虚しさ”は、決してあなたが弱いからじゃありません。
それは、心が本物のつながりを感じていた証であり、何かが満たされた証拠です。
でも、だからこそ、その感情に目を背けず、ちゃんと向き合ってほしい。
画面の中の「光」は、たしかにあなたを支えてくれた。
でも、これからのあなたには、自分の足で立つための“灯り”も必要です。
ほんの小さな行動からでいい。
画面を閉じたあと、自分の生活をほんの少しだけ、心地よいものに変えてみてください。
その小さな一歩が、虚無感を“次の希望”に変えていく力になります。