2008年6月8日、東京都千代田区外神田四丁目の神田明神通りと中央通りが交わる交差点で、通り魔事件が起こった。
犯人は元自動車工場派遣社員の25歳。
彼は運転する2トントラックで歩行者5人をはねた。その後、トラックを降り、通行人や警察官ら17人を立て続けに殺傷した。
あなたはこの事件を聞いてピンとくるでしょうか?そう、あの秋葉原通り魔事件です。
いきなりこんな物騒な話をして面食らっているかもしれませんが、この話はとても重要です。その理由は2つあります。
- 犯人は25歳だった
- 真の動機は社会的孤立だった
特に2点目がポイントです。Wikiには、
北海道大学准教授の中島岳志は、
「コミュニケーションが下手で、友達がいない若者はたくさんいる。加藤はうまくやっている方で、もしかしたら、私が教えている学生の方が友達がいないかもしれない。なのに、加藤は孤独だった。問題は友達がいないことではなくて、友達がいるにもかかわらず孤独だったこと」
と主張している。
と書かれています。今回、25歳の孤独についてたっぷり解説しますが、僕はこのことについて深く掘りさげます。
なぜなら、日本にはこういった社会的な視点で解説する記事がほとんどないからです。
もちろん、この事件を批評することは目的じゃありません。社会的孤立を解剖するために参考にしているだけです。
そのことをふまえて、「25歳の孤立」について理解頂ければと思います。あなたの苦しみの原因がわかります。
目次
25歳と21歳のちがい
人は25歳までずっと成長します。考えたり決断を下す部分の脳がどんどんおとなに近づきます。
だから、20代とひとくくりにするのは間違っているんです。25歳と21歳はまったく別です。
21歳は学びの時期です。25歳になると、仕事の関わり方がほとんどになります。
社会経験を積むにつれて、自分の考えや好きなこと、強みがはっきりしてきます。
その反面、将来の可能性がどんどん少なくなるように感じます。
21歳くらいまでは毎日が冒険という感じでした。25歳になると「安定」を求めだします。
もう立派なおとなになってしまいました。言い訳できなくなりました。仕事も一人前になるので責任感が強くなります。
自分でどうにかしないといけないというプレッシャーがめばえてきます。
一番きになるのはやっぱりお金です。25歳になると、収入、貯蓄が気になってしかたありません。
30歳になったら年収どのくらいだろう?老後は?自分の生活にせいいっぱいです。
25歳孤独と21歳孤独のちがい
25歳の孤独は、友達が多い少ないで測れるものじゃありません。「社会的なはみ出し者」という感覚があります。
わかりやすくいうと「負け組」です。実際、犯人の加藤は、
「負け組は生まれながらにして負け組なのです まずそれに気付きましょう そして受け入れましょう」
とネットの掲示板に書き込んでいました。悲壮感がヒシヒシと伝わってきますよね。
と、客観的なコメントをしたくなりますが、正直、今あなたはこう思いませんでしたか?
わかる。
ですよね。気がやんでるときに見たら応援したくなるほど的を射ています。
実際、Wikiにも、
事件後加藤を負け組の英雄とし、「神」「教祖」「救世主」とまでみなす共感現象が起きた
と書かれています。負け組という事実はほんとうに強力です。
たとえ、これを発言した人が殺人犯だとしても強く共感してしまいます。
25歳は21歳(大学生)とちがって、ステータスではじきものにされている感覚があります。
社会から見放された感がはんぱないです。そのことを代弁してくれる人がいたら、そりゃあ神格化したくなります。
負け組コミュニティが盛り上がる理由
ところで、あなたはいかにも負け組と思うようなオンラインコミュニティに所属したことはありませんか?
もしくは、Youtubeで社会的弱者を擁護するような人に魅力を感じたり、ちょっとでも惹かれた経験ってないですか?
正直ありますよね。僕もあります。なぜ、これほどまでに「負け組」は共感を生むのでしょうか?
理由はかんたんです。みんな社会的不満がたまっているからです。男み~んな病んでいるんです。
くわしいことは以下に書きました。
-
【批判覚悟】男性の孤独が99%社会問題でしかない理由を徹底解説。
よくぞおいでくださいました。ここに訪れたということは、あなたはおそらく気づいてしまった人だと思います。 孤独がどう考えても社会のせいでしかないと悟ってしまったレアパーソンです。 僕はそんなあなたのこと ...
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負け組リーダーの誕生を待ち望む人たち
病む理由なんて数えだせばきりがありません。
- 顔が不細工
- 母子家庭
- 親が酒乱
- 親が障がい者
- いじめられた経験
- 女性経験なし
- 消費税増税
- 低賃金
- モテない
- 社会的不平等
まだまだたくさんあります。
特に容姿や家庭問題で病んでいる場合、「人生は運ゲー」としか思えなくなります。
そんな運ゲー世界で努力もせずうまくいっている人たちがいます。彼らはいつもキラキラして、みんなからチヤホヤされています。
するとですね...人って親とか社会のせいにしたくなってくるんです。
外れくじ引いたせいで、クソみたいな生活させられてるのは俺のせいか?いやちがう。親だ。社会だ。
コミュ障なのは親のせい。背が低いのも鼻が低いのも親のせい。金がないのは社会のせい。政治家の責任だ。
俺の苦痛も知らず、世の中のやつらは苦労せず人生を楽しみやがって、と他人を責めたくなってくるんですよ。
そうすると、その中で本当に行動を起こす人があらわれます。
そして、その人をリーダーのように慕う負け組コミュニティが誕生するわけです。その一例が今回の秋葉原事件です。
25歳孤独な人あるある
さて、あなたは今25歳です。友達が1人か、もしくはまったくいない状況です。
中学・高校の友達の連絡先も知らない。大学を卒業してからは、LINEもすべてリセットしてしまった。
仕事もフルリモートで、人との関わりが全然ない。職場は、親子ほど歳の離れたおじさん世代の人ばかり。
一人暮らしなので、誰ともまともに会話しない日々の連続。
変わり映えしない退屈な毎日と孤独で精神的におかしくなりそう......といったところでしょうか。
休日なんてゲームするか寝て過ごすかですよね。一人で街へ出たって、仲間連れやカップルを見てうつになるだけです。
さきほど説明したように、孤独すぎて「人生の敗者」のように感じているかもしれません。
なぜ25歳の孤独はこんなにも辛いのか?
大学を卒業して社会人になったばかりの人は、クォーター・ライフ・クライシスという現象を経験します。
ミッドライフクライシスと同じで、人生の方向性に疑問を抱くようになる時期がおとずれるのです。
25歳はおとなとして完全に成熟する年です。多くの人が「自分の人生はいったい何なのか?」と思うようになります。
今までは、学校が決めたとおりに生きればよかったです。社会人はちがいます。
はたらく時間は決まってますが、自分で仕事の進め方を考えないといけません。
世間的にはあたりまえのことですが、負け組にはそれさえも難しいことです。
よく、囚人が刑務所に長くいると、刑務所の外の生活に適応するのに苦労するという話をききますよね。
他人のスケジュールに従って生きるということは、本当の生き方を知らないということです。
だから、大学や高校にスケジュールを決められて生きてきた若者には、このようなことがよく起こるんです。
これまでずっと、他人に言われた通りに行動してきたからこうなります。
あなたは、今自由になりました。だけどそれが逆に危険にも感じているという状況なんです。
社交不安、孤独死、ネガティブ思考が止まらない・・・
僕たちはなんども「人間関係が全てだ」と言われてきました。それは本当のことです。
だけど、もし友人が一人もいなくて、ただ無情な孤独が広がるだけだったらどうでしょうか。
まさにいまそういう絶望的な状況に直面しているんだよ!でしたね。失礼しました。
25歳、低賃金、友人なし、社交不安。つらいですね。つらすぎます。
あなたは昔どんな人でしたか?人気者でしたか?もしそうだったら、そのギャップに相当苦しんでいるはずです。
誰にも相手にされないってこんなに辛いのかと。
当時は友達がいすぎて誰と遊ぶか困っていました。今は「大人 友達 つくる」ググっている状況です。
なんてみじめでしょう。まるでほんとうの敗北者ではないですか。
社交不安がひどいです。まだ人生の折り返しにも来ていないのに、「孤独死の未来」が頭をよぎります。
このまま今の会社をつづけるか?転職して新たな環境で再スタートするか?なんてなんども考えたことでしょう。
でも、感情がネガティブだから、これといって思いきった行動はしていないはずです。だから、惰性でダラダラと今を生きているのです。
25歳になって「遅れている感が」はんぱない・・・
ちょっと孤独から話がずれてしまいますが、あなたは、「遅れている」と感じることが多くないですか?
若い時期にもっと挑戦しておくべきだったってものすごく後悔してませんか?
なんなら、孤独の原因は挑戦しなかったことにあると思ってませんか?
小学校や中学校のころは別に落ちこぼれではなく、友達もいて、誕生日パーティーにも呼ばれました。
でも、人生の後半になるにつれて、なぜか他の人たちとの差がどんどん広がってきました。
ひどい虐待を受けたわけでも、事故に遭ったわけでもありません。
ただ、年を追うごとに、少しずつ遅れをとっているような気がするんです。
大幅な遅れをとってしまった致命的な理由
なぜこうなるのでしょうか?少したとえ話をします。
今の状況を飛行機にたとえるなら、離陸に失敗するようなものです。
あなたは滑走路を走り出し、勢いをつけてスピードを上げました。
フロント・ランディング・ギアは持ち上がり始めるが、なぜか飛行機は離陸しません。
どうしてだ?どうして離陸しないんだ!?
他の人たちと同じようにあなたにも勢いがあった。滑走路を走り出した頃(17歳)は、たくさんの可能性があった。
でも、なぜか飛行機を離陸させることができなかった。あのとき離陸していれば、もっと良い大学を卒業していたかもしれない。
時が経つにつれて、子供の頃にもっていたものがどんどん失われています。
親友は新しい友達を作り、自分の人生を歩みはじめています。
そしてどういうわけか、"あなただけ"孤独のまま取り残されてしまった。
なんでこうなるのでしょうか?別に人があなたを見るとき、特にひどいところはないんです。
体臭がキツイとか、髪が不潔なわけでもないです。外見上はまったく問題ありません。
でも内面は、劣等感と孤独でいっぱいです。そしてそれが年を追うごとにドンドン悪化しているのです。
じらしてすみません。あなたには勢いがあった。なぜ離陸できなかったのか?
理由はシンプルです。スタートしなかったからです。
あなたは自分の人生をはじめなかった。あなたは、孤独の道を自ら選択してきたのです。
25歳ボッチが続出している社会的な理由
いや、ちょっとまってください。ほんとうにすべてあなたのせいなのでしょうか?
いいえそんなことありません!実は社会人の孤独は社会のせいなんです。
ひと昔を思いだしてください。なにもかも直接あってやりとりしないといけませんでした。
今はどうでしょうか?インターネットがあります。すべてオンラインで完結します。わざわざ人と会う必要はもうありません。
インターネットが普及するにつれ、人々はより分断されるようになりました。
僕たちは、人と深いつながりをきずくために努力しないといけなくなりました。
しかし、社会がそのように動いていなかったために、親が子供をそう教育する必要性が生まれました。
でも、親はあなたに友達をつくる方法を教えてくれませんでした。なぜでしょうか?親自身も教わっていないからです。
その結果、人間関係を維持する方法を教えられていない人たちが大勢いるのです。
つまり、あなたは負け組ではないのです。「人と会話する方法」を教わらなかっただけなのです。
25歳スキルゼロ: 逆境か、チャンスか?
そうさ、俺はきちんと教育を受けてこなかった。やっぱ社会のせいだ。こんな環境だから新しい友人もできやしない。
女性との出会いなんて夢のまた夢で、むかしの友人とはどんどん疎遠になる一方だ...
と嘆いておりますか。そうですか。今一度、自分の立場をよく考えてみてください。
- 25歳であること
- 健康であること
- 日本に住んでいること
本当にもうチャンスはないのでしょうか?
現在の立場を認識することで、自分が本当にどれだけ恵まれているかを理解することが大事です。
重要なのは、新しいことを試し、過去の成功や失敗にとらわれないことです。
あなたが25歳で、自分がゼロから始めていると感じているなら、それはあなたが立ち向かうべき逆境です。
それをチャンスととらえ、これからの人生を再設計する出発点とすることができるとしたらどうでしょうか?
30歳一匹狼にならないようにするには?
僕は敵なのか味方なのか?そんなことはさておき....
たとえ30歳になってもまだ若く、新たな道を探す時間はたくさんあるということです。
これからの5年間、どのような経験をするかは、あなた次第です。
あなたの25歳は、ゼロからのスタートではなく未知の可能性に向けた出発点です。
この思考法をあなたの人生に活用してみてください。
自分自身を全く新しい視点から再発見する機会を作り出すのです。
あなたが立っている今この場所は、過去の失敗から逃げる場所ではありません。未来への出発点なのです。
孤独の敗者から幸福の勝者になる人生逆転術
多くの若者が孤立するこの時代。絶望ではなく希望の明日へと進むために、あなたに何ができるでしょうか?
どうすればこの冷たい孤独を克服できるのでしょうか?重要なのは、自分を敗者と見なさないことです。
今のあなたには、自分を「敗者」とレッテルを貼るのではなく、何を学んだのかを自問する時間が求められています。
くよくよ悩んでいる場合ではありません。この危機的状況から立ち直るためには、自身の内面に向き合い、行動を始めることが必要です。
最終的な解決策は、現状を受け入れ、今何ができるかに焦点を当てること。そして、実際に何かをはじめて前に進むこと。
これが真の解決策であり、これこそが敗者から勝者へと転じる道筋です。
問題から目を背けず、行動を起こしてください。必ずや明るい未来がまっています。
孤独な現状を変える3つの方法
できることに集中する【思考法】
すべてを自分のせいにするのではなく、自分の責任を正確に知ることが大切。
すべきことを追求するより、できることを探る。
人は前進しても、未達成の目標に焦点を当てると悲しくなる。だから、失敗より成功に目を向ける。
※このときにいつまでも過去の成功にとらわれないこと
「すべきこと」にとらわれず、「今、できること」に集中すれば気持ちがラクになる。
例えば、友達とのメッセージだけでも全然OK。小さな行動を起こし、はじめることが大切。
目標が大きくても、まずは一歩からはじめる。そして、自分のできたことをしっかり認める。
プログラムでコミュ力を磨く【学習】
社交不安がある人は、治療(リハビリ)を受けることが大切。
そもそも、会話をするのが難しいと感じているなら、今すぐ新しい友達を作る必要はない。
まずは訓練が必要。特別なプログラムやインターンシップなどで、コミュニケーションの練習をする。
「人に好かれる会話術」はその点でものすごく優れている。これを学ぶと見違えるくらいコミュ障が改善される。
話す力が身につくから孤独とは無縁になる。
話すことが難しいときは、他の人の話し方を見てマネするのもおすすめ。
もっとも大事なことは相手に興味をもつこと。この本質についても人に好かれる会話術が教えてくれる。
やっぱこの教材、スゴイ。⇒人に好かれる会話術
オフラインのシミュレーション【練習】
オンラインでの会話が増えると、実生活でのコミュニケーションスキルが減少する。
気まずい時や困った時にスマホを見て避ける行動は、次回も同じ気持ちにさせる。
だから、結局は実際のコミュニケーションの練習が必要。感じた気持ちをちゃんと処理することが大切。
とはいっても、コミュ障にはむずかしすぎる。なので、さいしょはむりに誰かと話さなくてOK。
ポイントはスマホから距離を置くこと。外へ出て散歩してみるだけでも効果ある。誰かとすれちがうだけでもリハビリ効果ある。
大事なことは、オフラインの時間なるべくつくること。
おわりに
今まで経験したことのないことに直面するとき、新たな危険と同時に新たなチャンスも生まれます。
悲観的になりすぎないでください。きちんと練習を積んで一歩ずつ前へ進めばうまくいきます。今までもそうしてきたじゃないですか。